月経に関する悩みは色々あるかと思います。
生理痛や過多月経、PMSなど、
まずはご相談ください。
生理痛(月経痛)
Menstrual pain
月経に伴う痛みは、個人差があります。同じ人でも痛い月と痛くない月があったり、大人になるにつれて痛みが軽くなってくる場合や、またその逆の場合もあります。
生理痛の原因として、精神的な要因(ストレス、月経に対する不安や緊張)、子宮内膜でつくられるホルモンの影響、子宮・卵巣の病気(子宮内膜症や子宮筋腫など)によるものが挙げられます。
ホルモンが原因となっている場合には、痛み止めや低用量ピル、漢方薬などを使用し、症状を緩和させます。子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因となっている場合は、薬による治療の他、手術が必要となる場合もあります。
また、現時点で子宮内膜症と診断されなくても、生理痛を放置すると子宮内膜症に進展することもあります。生理痛がある場合には、遠慮なくご相談ください。
月経量の異常(過多月経など)
自分の経血量が多いか少ないかは、個人差があります。
また、同じ人でも、その時のホルモン状態によって、経血量が大きく違ってくることもあります。
- 量が多い(過多月経)
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タンポンや夜用のナプキンが必要な場合や、昼用ナプキンを1時間ほどで交換しなければならないような状態が続く場合は、過多月経の可能性があります。
これは、子宮内膜が通常よりも厚くなり、子宮内膜の量が増えている状態が疑われます。
ホルモンの分泌異常の病気や子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気の可能性があります。
また、気がつかないうちに貧血が進行している場合がありますので、血液検査で発見されることもあります。
- 塊が出る
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通常出血は塊のまま出てくることはないのですが、子宮内膜が厚すぎて酵素の量が足りずに溶かしきれない場合は、レバーのような塊として出てくることがあります。
これは子宮内膜を成長させる女性ホルモンの分泌が多いことが主な原因で、20代後半や30代は決して珍しいことではありません。
ただ、あまり頻繁に塊が出る場合は、子宮筋腫や子宮腺筋症など病気のサインとも考えられますのでご相談ください。
治療方法
月経量が多い場合、貧血に気をつけることが大切です。貧血になると、カラダがだるく疲れやすくなり、耳鳴り、動悸(どうき)、息切れ、めまいなどを引き起こしますが、毎月少しずつ貧血が進行した場合には自覚症状があまりないこともあります。
月経量が多いかたは、まず採血で貧血の有無をチェックします。当院では院内に即時判定機がございますので、即日判定・治療が可能です。
貧血のある方には鉄剤や止血剤を投与し、貧血を改善します。また、診察により、子宮筋腫や子宮腺筋症など何か病気がないかを調べます。病気がある場合には、その方に応じた治療を行います。場合によっては、低用量ピルでホルモンのバランスを整えたり、子宮内黄体ホルモン放出システム(ミレーナ®)を子宮内に挿入し、月経量を調整します。
子宮内膜症
Endometriosis
子宮の内側にあるべき子宮内膜・またはそれに似た組織が、何らかの原因で子宮の内側以外の場所にできてしまうのが子宮内膜症です。
子宮内膜症は女性ホルモンの影響で進行し、近年の晩産化・少産化に伴う一生の月経回数の増加によって発症率も増えています。
子宮内膜症ができやすい場所
子宮内膜症ができやすい場所として、卵巣、ダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)、仙骨子宮靭帯(子宮を後ろから支える靭帯)、膀胱子宮窩(子宮と膀胱の間のくぼみ)などがあげられます。
稀ではありますが肺や腸にもできることがあります。
症状
主な症状は、様々な痛みと不妊になります。痛みの中では生理痛が最も多く、性交痛、排便通、排卵痛、腰痛、骨盤痛、下腹部痛も引き起こします。
不妊に関しては、子宮内膜症を患っている方のうち30~50%の方が不妊症を合併していると考えられています。
特に、卵巣にできた子宮内膜症を卵巣チョコレート嚢腫といい、卵巣予備能の低下による不妊、破裂や骨盤内感染、卵巣がんのリスクになります。
また、子宮筋層内にできた子宮内膜症を子宮腺筋症といい、強い痛みを伴うだけではなく、月経量が多くなり貧血症状を引き起こします。
治療方法
大きく分けて薬物療法と手術療法があり、症状の種類や重症度はもちろん、年齢や妊娠の希望などを総合的に判断して最適な治療法を選択していきます。
薬物療法には、低用量ピルや黄体ホルモン剤、GnRHアゴニストなどがあり、女性ホルモンの分泌を調整することで症状を緩和させます。
月経前症候群(PMS)
Premenstrual syndrome
月経前3~10日間続く、精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないしは消失するものをいいます。
これを月経前症候群(PMS)といいます。
原因
詳しい原因ははっきりとわかっていませんが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。
排卵のリズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。
黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、月経前症候群の原因と考えられています。
しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響を受けるため、PMSは女性ホルモンの低下だけが原因ではなく、多くの要因から起こるといわれています。
生活や仕事に影響が出るほど酷い場合は婦人科を受診しましょう。
症状
月経の3~10日前くらいに現れるさまざまな症状のことで、個人差はありますが、精神神経症状と身体的症状とあります。
- 精神神経症状
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- 情緒不安定
- イライラ
- 抑うつ
- 不安
- 眠気
- 集中力の低下
- 睡眠障害
※ 精神症状が主体で強いものを月経前不快気分障害(PMDD)といいます。
- 自律神経症状
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- のぼせ
- 食欲不振・過食
- めまい
- 倦怠感
- 身体的症状
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- 肌荒れ
- 腹痛
- 頭痛
- 腰痛
- むくみ
- お腹の張り
- 乳房の張り
治療方法
仕事の負担を減らしたり、生活を改善しても症状が軽快しなければ、薬による治療を行います。
排卵が起こり女性ホルモンの変動があることがそもそも原因ですので、排卵を止め女性ホルモンの変動をなくすことで症状が和らぎます。低用量ピル(OC)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP)が有効です。服用している期間だけ一時的に排卵を休憩させるだけなので将来の妊娠には影響を与えません。
精神神経症状や自律神経症状に対しては、神経安定剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬物療法を併用したりします。また、漢方薬が有効な場合もあります。
個々の症状や状況に合わせて治療を選択していきます。