婦人科検診(子宮がん)

子宮下部の管状の部分を子宮頸部、子宮上部の袋状の部分を子宮体部と呼び、

それぞれの部位に生じるがんを「子宮頸がん」「子宮体がん」といいます。一般的には、子宮がん検診は「子宮頸がん検診」を指します。20代・30代の女性が罹るがんの中で最も多いのが子宮頸がんです。

子宮頸がんは、初期では自覚症状がほとんどない病気ですが、定期的な検診により初期の段階で発見されることが多いです。また、がんになる前の段階「子宮頸部異形成」という状態で発見することで、がんに進行する前に対処することができます。

1年に1度、定期的に検診を受けましょう。

*杉並区では20歳以上の女性を対象に、例年6月から翌年2月まで500円の自己負担で子宮がん検診を受けられます。

当クリニックは指定医療機関になっておりますので、予約の上、子宮頸がん検診受診表と保険証を持参して受診ください。(2022年6月14日より)

保険診療と同時に行うことはできません。

目次

子宮頸がん

Cervical cancer

子宮頸がんは子宮がんのうち約4割程度を占めます。以前は約7割が子宮頸がんでしたが、子宮体がんの増加により割合は減少しています。毎年約10,000人もの女性が新たに子宮頸がんにかかっています。

以前は発症のピークが40代でしたが、近年は若年化が進んでおり、発症のピークは30代で妊娠・出産を考える時期と重なります。20~30代のがんで第1位の罹患率となっています。

原因

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で起こることが知られています。

HPVの感染そのものは稀なことではなく、性交渉の経験がある女性の80%以上が、50歳までに感染を経験するといわれています。特に若い年代の感染率は非常に高いことがわかっています。

症状

子宮頸がんは通常、早期にはほとんど自覚症状がありませんので、早期に発見するためには定期的に検診を受ける必要があります。

進行するに従って異常なおりもの、月経以外の出血(不正出血)、性行為の際の出血、下腹部の痛みなどが現れてきます。

子宮頸がん検査

子宮の出口にある頸部をブラシでこすって細胞を集め、顕微鏡でがん細胞を見つける細胞診検査を行います。この検査を子宮頸がん検診と呼びます。

出血などの症状がない場合でも、性交渉の経験がある方は20歳を過ぎたら、毎年、子宮頸がんの検診を受けることをおすすめします。

杉並区の子宮頸がんにも対応しております。子宮頸がん検診受診票と保険証を持参して受診ください。

※がん検診で陽性となった方はコルポスコピーによる生検検査が必要となることがあります。
当院ではコルポスコピーによる組織検査は行っておりません。
当院で対応できないような病気の場合には、近隣の病院などをご紹介いたします。

治療方法

子宮頸がんの治療方法は、手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)の3つを単独、もしくは組み合わせて行います。

しかし、初期の段階(異形成や上皮内がん)で発見されれば、今後、妊娠・出産の希望がある場合には子宮を残す治療(子宮頸部のレーザー治療など)も可能です。

早期発見、早期治療を

子宮頸がんはごく初期のがんであるならば、子宮を残すことが可能なレーザー治療や円錐切除などを行うことができ、その治療成績も極めて良好です。

また、治療後に妊娠や出産することも可能です。子宮頸がん検診で早期発見することが可能であり、早期治療が一番大切な病気といえます。

子宮体がん

Endometrial cancer

子宮体部に発生するがんが子宮体がんで、近年、我が国の成人女性に増えてきているがんのひとつです。

子宮体がんは、子宮内膜から発生することから、子宮内膜がんとも呼ばれています。

原因

多くの子宮体がんの発生には、卵胞ホルモン(エストロゲン)という女性ホルモンが深く関わっていると考えられています。

リスク因子
  1. 閉経後の方
  2. ホルモン補充療法
  3. 子宮内膜増殖症
  4. 乳がん治療中
  5. 肥満・高血圧・糖尿病

症状

一番多い自覚症状は不正出血です。子宮頸がんに比べ、子宮体がんになる年代は比較的高齢ですので、閉経後あるいは更年期での不正出血がある時には特に注意が必要です。

閉経前であっても、月経不順、乳がんを患ったことがある場合は注意が必要です。

検査

直接、子宮の内部に細い棒状の器具を挿入して、細胞を採取して検査する子宮内膜細胞診を行います。

子宮体がんの患者さんは比較的高齢の方が多いので、子宮の中まで器具を挿入することが難しい方もおられます。このような方には超音波検査で子宮内膜の厚さを測って判断することもあります。

早期発見・早期治療を

子宮体がん(子宮内膜がん)は決して治りにくいがんではありません。病気が子宮にとどまっている範囲で治療すれば80%以上の方は治ることが期待できます。

子宮は膣を介して直接、細胞や組織を採取することができる臓器なので、診断に極めて有用な検査が比較的簡単にできます。不正出血やおりものの変化があった時は婦人科を受診してください。がんを克服するには早期発見・早期治療が重要です。

子宮筋腫

Uterine fibroid

子宮の筋肉に発生する良性の腫瘍が子宮筋腫です。

がんのような悪性腫瘍と違い、生命をおびやかすことはありません。また、子宮筋腫ががんになりやすいということはありません。子宮筋腫単独の場合もありますが、子宮内膜症と合併する場合もしばしば見られます。子宮筋腫自体は良性腫瘍です。

しかし、ごく少数ですが、子宮体がんの合併や子宮肉腫という悪性腫瘍の場合もありますので注意が必要です。

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